百合ゲーム・漫画・アニメのレビュー・感想。『咲-Saki-』『アカイイト』考察。

2021年 面白かった百合作品 はてなブックマーク - 2021年 面白かった百合作品

2021/12/31
レビュー・考察他 0
 来年もよろしくお願い申し上げます。

『北の女に試されたい』(箕田海道)
 実に作者らしい、素っ頓狂な百合紀行漫画。Twitterで女の尻を追い回すイルカについて思索する妙ちきりんな百合漫画を読んで一目惚れしていたのだが、(たしか)商業初のオリジナル長編でもへんてこっぷりが健在で嬉しかった。激情というトーンではないが面はゆい親愛やちくちくした嫉妬があり、相克や衝突と書くと気恥ずかしいが手探りでの相手への理解や共感も確かにある。そんなオフビートの作品をも愛する人にはぜひ読んでもらいたい。私はこの気持ち悪い気持ちよさを表す言葉を「サブカルチャー」以外知らない。

『元カノに幻想を抱くなバーカ』(西沢5ミリ)
『北の女』といい、こんな妙ちきりんな百合漫画が読めるなんてつくづくいい時代になったもんだ。女の子の作画は、コミックキューンかVTuberのデザインかという売れ線バリバリのキャッチーさなのに、登場人物はあっけらかんと毒まみれの暴言を吐いてくる。その上で、付き合いはじめてからのこそばゆさとおもはゆさで強烈に脳みそを揺さぶってくるところがやっかいだ。基本無神経なのに、距離を詰めてみると妙なところで律儀でまめまめしい、筋を通していていじらしい。そんなところまで含めて「幻想」で、とにかく最高だった。

『時間跳躍式完全無劣化転送装置』(山素)
 七年もの時間を跳躍して、ちっとも劣化しなかったものとは……言ってしまうのは無粋だな。

『彼女と週末アフタヌーンティー』(川嶋すず)
 お茶から軽食・デザート・インテリアの鑑賞、それと相手とのおしゃべりをめいっぱい楽しんでるのが紙面から伝わってくる。ぜいたくを肯定的に捉えられるのは素晴らしいこったよ。

『魔法少女消耗戦線 DeadΩAegis』
 百合ゲーというだけでも『まどマギ』エピゴーネンはいっぱいあったが、その中ではもっとも評価が高い。作り手の品性を疑い、同時に自分の品性を疑いたくなるようなおぞましい問題作だが、ラストに至る展開が感動的で泣かせてくるのがなおタチが悪い。安全地帯から悲劇、少女たちが苦しみもがくさまを「消費」している読者に対する冷たい視線って、類似作品にあんまりなかったなと。

『咲-Saki-』『シノハユ』(小林立・五十嵐あぐり)
 レジェンド枠。
 『咲-Saki-』は連載ペースがもの凄く遅いので、あるカップリングが二次創作で盛り上がったあとに遅れて公式から火の玉ストレートを投げ入れられることがままある。「公式だったか妄想だったか思い出してる」という画像があったがまさにあの感じで、界隈は火だるまの焼け野原になる。いや、それくらい照菫(怪物と親切な人)の描写は衝撃だった。


  来年、百合ゲーレビューまとめもちゃんとやります。あと、まとめだけなんで、ほんとに……。
関連記事
toppoi
Author: toppoi.
百合ゲームレビュー他。アカイイト、咲-Saki-、Key・麻枝准、スティーヴン・キングの考察が完成しています。
Since 2005/12/10

コメント(0)

There are no comments yet.