『咲-Saki-』が好きでよかった 

小林立の公式サイト「dreamscape」に掲載された、『咲-Saki-』作中世界の同性愛に関するあけすけな既述に対する所感だ。
http://www.sciasta.com/ritz/
先に断っておくと、今回の件で真っ先に心へ浮かんだのは、質問した人に対する「そもそも、作者に対してキャラクターが同性愛者かいちいち聞くなんて無粋もいいとこじゃないか」というアンニュイな想いだし、「そら同性愛者は(多寡はさておき)いるでしょうよ……」というひねた想いもわずかにあったのは正直なところだ。だけど。けれども。だけれども。それはそれとして、作者が自分の作品、それも既に各方面から評価を受けている作品に対して「登場人物に同性愛者はいる」「登場キャラに女性と女性の子供がいる」「同性婚が可能」ときっぱりと言い切ったのは、誠実で、掛け値無しに素晴らしいと思った。面倒臭い輩に難癖を付けられるのは当然予想できるし、お茶を濁したりネタに逃げたりすることも可能だったはずだ。その上で、当たり前のことを当たり前だと実直に言い切った小林立の意気を、私は買いたい。
私はつねづね、きっかけは精子提供でもiPS細胞でも独自概念でも、あるいは特に説明が無くてもよいから、女と女が結婚して、子どもを産んで、世代が続く作品が世の中にもっともっとあってほしいと思っていた。そんな中で、ベストの一つに挙げるほど好きな作品が正式に名乗りを上げてきたものだから、胸がいっぱいでうまい言葉がなかなか出てこない。ただただ、『咲-Saki-』を好きで本当によかった、と繰り返すばかりである。