サガフロンティア 雑感 わからない! 文化が違う! 

はじめに断っておくと、私はゲームを始める前に説明書の類は一切読まない。説明書や攻略サイトを見ながらでないと遊べないゲームなんざ七面倒でやってられないし、そんなものは欠陥品だとすら思っている。ゲームに対するそうしたスタンスが許せない方には、以下のレビューは何の意味も成さない。
総プレイ時間は4、5時間程度。言うまでもなくアセルス編以外は全くやっていない。スタート地点のお城から、やたら暗い画面に目を凝らしてマップの境目を探り当てて脱出。次の町で人魚のSOSに応じてお偉方の館に侵入、シナリオ上の必然性がようわからんのにべらぼうに強いイカをどうにかやりこめて彼女を解放する。主人公が家に帰ってみようと言うので従ったところ、理不尽な強さの騎士に襲われるもどうにか退ける。実家の後はどういった目的で何をどのようにすればよいのかさっぱりわからず、意味ありげな古墳や研究所を探索してみたものの、話が進まない。その後は行き当たりばったりで移動した近未来中華街で路地裏に迷い込み、雑魚敵に追い回されて全滅するのを繰り返す。半分くらい詰みになったこの時点で、これ以上苦痛に耐えても楽しく遊べないし、得られるものは何もないと判断し、ぶん投げた。
前回のレビューでも書いたが、私は生粋のゲーマーではない。ローグライク(『トルネコの大冒険』など)やアクション寄り(『カエルの為に鐘は鳴る』など)は除き、オーソドックスなコマンド選択式RPGでプレイしたことがあるのは『ドラクエ』『ポケモン』『MOTHER』『マリオRPG』『Succubus Quest短編』『レディナイト・サーガ』シリーズくらいだ。列挙するのも楽ちんである。RPGは好きか? と聞かれても、特別好きとは答えられない。しかし、今挙げた作品はどれも名作と呼ばれるだけあり、最後まで楽しく遊ばせてもらったのだ。本筋は当然エンディングまでやったし、エクストラダンジョン・裏ボス撃破その他のやり込みも大部分の作品でやり切っている。
『サガフロンティア』には今まで遊んだRPGにあった楽しさがこれっぽっちも見出せなかった。シナリオの面白さ、テキストの面白さ、キャラクターの面白さ、探索の楽しさ、育成・成長の楽しさ、蒐集の楽しさ、そういったものが露ほども感じられなかった。脈絡がなくて唐突な上に、大筋の目的すら提示されずに放り出されるシナリオ展開。無個性で行動原理も不明なキャラクター。バランスブレイカーな武器や技、インフレレベルで理不尽に強くなる敵から算出される大味なゲームバランス。意味ありげでだだっ広く、敵もトラップも満載なのに存在意義の薄いダンジョン。ぶつ切れで一人称すら安定せず、こだわりが感じられないテキスト。敵シンボルがやる気満々に追跡してくる上に、もたくさした演出でテンポが悪い通常戦闘(逃走不可)。強くなっている実感が薄い成長システムとようわからん敵のランクシステム。最大限好意的に捉えれば「自由度が高く、プレイヤー主体で、想像の余地を残している」、個人的には「全般的に雑で投げやり、未完成品くさい」としか思えないゲーム全体のコンセプトが、致命的なまでに私の肌に合わなかった。いったい、こんなものの何が面白いんだ? 何を楽しめばいいんだ? 私が普段遊んでいるノベルゲームからも、遊んだことのある名作RPGからも、文化の違いを感じた。
『サガフロンティア』は私が参考にしているレビューサイトでも毀誉褒貶が激しい作品だが、私は否定の側にすっくと立っている。面白い要素が1コもなかった。えっ、百合ゲーとしての評価はどうかって? 知らん知らん、それ以前の問題!
サガ フロンティア | SQUARE ENIX