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東方Project ノーマル難易度比較(紅魔郷から虹龍洞まで) はてなブックマーク - 東方Project ノーマル難易度比較(紅魔郷から虹龍洞まで)

2021/05/15
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『東方Project』本編(シューティングのみ、弾幕格闘や文化帖系統を除く)のノーマルモードでの難易度について語っていこうと思う。ひとくちに難易度と言っても何をもってゲームクリアと考えるかでニュアンスが変わってくるが、難易度ノーマルのノーコンテニューかついわゆる強機体での突破を想定している。
 そもそもシューティングゲームの経験がないが東方本編をプレイしてみたくてこの記事にたどり着いたという方へ。私もシューティングのみならずゲームをそんなにやらない人間なのだが、同人文化や伝奇方面の興味から『紅魔郷』を初めてプレイした時は「こんなの絶対にクリアできんだろ」と思った。しかし、意地のトライ&エラーや攻略記事の助けを借りてどうにかレミリアを打ち負かすことができた。今では全作品のノーマルをクリアできるようになったし、エクストラも全作品で突破している。クリアした人をゲームの達人だと勘違いさせる難易度のあんばい、繰り返しプレイするとめきめき上達しているのが実感できるゲームデザインはシリーズの美点だと思う。



いいかげんなノーマル難易度ランキング 
【難しい】
紺珠伝(完全無欠) 紺珠伝(レガシー) 地霊殿 星蓮船
【やりづらい】
輝針城
【比較的やさしい】
妖々夢 鬼形獣 紅魔郷 虹龍洞 天空璋 永夜抄 風神録
【やさしい】
神霊廟

(おまけ)いいかげんなエクストラボス難易度ランキング 
【強い】
ヘカーティア&純狐 こいし フランドール 雷鼓
【かなり強い】
藍・紫 早鬼 諏訪子 妹紅 ぬえ マミゾウ
【やさしい】
隠岐奈

『東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.』 
 一番難しいと言う人もいるが、私は真ん中くらいだと思う。以降のシリーズに比べて弾幕の密度が(当たり判定の仕様を考慮しても)明らかに薄いのがそのもっともたる理由だ。
 以降の作品にあるような救済システムは存在せず、ボスのHPリングや画面下のエネミーマーカー、低速移動における自機の当たり判定といった視認性を補助する表示もない。しかし、スペルカードの画面に占める弾の密度や圧迫感は永夜抄や地霊殿に比べれば断然薄いので、大きなハンデかというとそこまででもない。魔理沙は妖々夢と同じデザインなのでなんとなく判定もわかるしね。どちらかというと問題なのは、敵弾の当たり判定が割に大きいことだろう。特に中弾、大弾が後の作品に比べてめり込めないので、同じ感覚で回避しようとするとぽこぽこ被弾する。紅魔郷は殊に弾幕の薄い(薄くなる)部分を見定めて立ち回る技術が問われる。
 ボスの特徴としては、以後の作品に比べると格段に耐久力が低い。特に5ボスの咲夜なんかは、弾幕展開前の予備動作中に極力近づいて撃ち込むことを心がけるとぐっと楽になるはずだ(「操りドール」は返り討ちにされるけれど)。4ボスのパチュリーは上述した当たり判定の影響で一部のスペカが鬼畜になっている。水符「プリンセスウンディネ」の恐怖はじっさいに体験してもらいたい。パッチェさん相手に抱え落ちを繰り返すとクリアがぐんぐんと遠のいていく。レミリアは6ボスの中では御しやすいほうなのかな? 体力が少ないのは他のボスと同様なので、押し流されずに正面に陣取ることができれば案外あっさりとスペルカードゲットできる。しかし、最終スペカの「レッドマジック」はハードの「紅色の幻想郷」より難しいと言われている。確かにあのうねりつつ徐々に徐々に狭まってくる包囲網のような弾幕は、初心者には脅威の一言。なるべく慌てず騒がずで、レミリアの下をキープしつづけるのがクリアの鍵だ。
東方紅魔郷
オイオイオイ、死ぬわアイツ。

『東方妖々夢 〜 Perfect Cherry Blossom.』 
 紅魔郷に比べてボスの耐久力が上がり、弾幕のバリエーションも格段に増えているが、プレイヤーに有利な要素がそれ以上に実装されているのでなんとかなる。
 妖々夢のシステムである森羅結界は、クリア重視プレイならボムの補助としてガンガン使えてシンプルに強い。システムを完全に把握していなくても(私はいまいちわかっていない)、順当に桜アイテムを回収しつつ弾幕を避けていれば勝手に発動してくれる。ボム数が4の咲夜は併用していればそうそう倒れない。結界は強力な弾幕ほど発動しやすいのがまた心憎いね。
 4ボスのプリズムリバー三姉妹は、通常弾でのへにょりレーザーが鬼門な上に固いのがいやらしい。5ボスの妖夢は鬼としか言いようがない。抱え落ちしたい人にお薦めの危険な庭師魂魄妖夢。イントロから1秒の通常弾1で博霊の巫女が頭から血を流して倒れていた。「そんな危険なわけがない」といって出て行った普通の魔法使いが5分後「二百由旬の一閃」にハメられて戻ってきた。妖々夢が難しいというイメージは四割がた妖夢に作られていると思う。あの通常弾とは都合三回鉢合わせるので、視界が狭く交差弾に慣れないうちはトラウマになる。幽々子は森羅結界がガンガン発動するのと、最終スペカ相当の「完全なる墨染の桜」にボムが通じるのがありがたい。ほとんどのスペルが危ないと思ってからボムが入るのも助かる。
 クリア重視プレイなら4ボムの咲夜安定。特殊タイプはショットが異様に強いが、どうしても使いこなせないなら広範囲タイプで。
東方妖々夢
演出がクソかっこいいのは認める。しかし事故る。

『東方永夜抄 〜 Imperishable Night.』 
 評判通りクリアしやすい部類だろう。ただしそれは決死結界の恩恵あってのもので、スペルカードそのものはやさしくもなんともない。
 永夜抄全体の傾向として、弾幕の密度が高くて非常に圧迫感があり、画面下で精密動作を強いられるシーンが多い。3ボスの慧音からして既に神経に障ってくる。指先の調子が悪いとぽこぽこ被弾してしまう。しかし、今作には喰らいボムを発展させた決死結界というシステムが実装されていて、二ボム以上のストックがある場合はほぼ確実に喰らいボム=ラストスペルが発動できるようになっている。なのでボムを2個拾ったら1機アップみたいな感覚がある。今作をプレイすると、東方のノーマルがクリアできない、イコール抱え落ちをしているというのがよくわかる。ステージ後半の弾幕は全然見切れなかったのに、決死結界とラストスペルを順当に使っていたらクリアしちゃっていたことは多々ある。
 4ボスの霊夢と魔理沙は主人公であることを反映してか、他作品の同ステージと比較してかなり強めに設定されている。魔理沙はパワーキャラの触れ込みに反して、けっこう人の神経を逆なでするちまちました弾ぁ撃ってくるんだよな。星形弾は見た目の派手派手しさの割りに判定は小さいがそれでもきっつい。逆に鈴仙は変則的なスペカに慣れればどうとでもなる。銃弾(座薬とネタにされているあれ)も同様に見た目より小さい。輝夜の「蓬莱の玉の枝」は永夜抄を象徴するようなスペルだな。
 ゆかれいむ安定。チームの特性で決死結界の猶予時間が非常に長く、抱え落ちが実質なくなる。
東方永夜抄
見た目よりは判定が小さい。見た目よりは。

『東方風神録 〜 Mountain of Faith.』 
 他のノーマルはクリアできるのに風神録のノーマルがクリアできない、イコール「霊撃を使い切っていない」だ。断言できる。
 風神録ではボムのシステムとして、パワーを消費して発動する霊撃が採用されているが、これがありえないくらい強い。あまりにも強すぎるでしょう……。1ボムで1スペルを飛ばせる威力なのに使用回数があれだけあり、リカバリーは容易で、道中で使うペナルティはほぼなしときたもんだ。例えるなら、紅魔郷でザコ敵の一群を倒したり、ボスの通常弾・スペカの一セットを突破したりするたびに緑色のボムアイテムが支給される、そんな感覚だ。パワーがフルになった端からボンボンぶっ放していい。逆に霊撃を出し惜しみして抱え落ちが重なると、残機数に余裕がないので苦しくなる。
 文も早苗も平均以上の強さはあるはずだが、霊撃のせいでどうにも印象が薄い。神奈子はさすがに今まで通りの霊撃ぶっぱでは残機によほどの余裕がないと無理なので、研究と対策を重ねてしっかりと安定スペカを作っておくこと。ラストの「マウンテン・オブ・フェイス」には当然ボム耐性がある。
 道中が非常に楽な上、破壊力もそんなに悪くない霊夢のTYPEA装備(ホーミングアミュレット)がよいと思う。「マウンテン・オブ・フェイス」があまりにもしんどいなら、パターンの完成度を高めつつTYPEB装備(封魔針)で。
東方風神録
せわしなさは歴代最終スペカでも群を抜く。

『東方地霊殿 〜 Subterranean Animism.』 
 歴代史上最凶との呼び声も高いが、ぶっち切りで難しいかといえばそうでもないんじゃないか。私は初クリアの時にかなり残機が余った。ただし、プレイしていて最も疲れるのは間違いなくこれだ。ボスが尋常じゃなく固い。カッチカチやで。
 地霊殿の特徴は、針に糸を通すような精密動作や長い反復動作、チョン避けを強いられる箇所が多いことだ。私は魔理沙で挑戦するモチベーションがない。道中は自機狙い弾が大半だとわかっていても長ったるくてへばってしまう。いつもは箸休めの6面ですらしんどい。しかし、風神録より弱体化したとはいえ霊撃はそれなりに優秀で(推奨機体なら……)、気を張っていれば残機を減らさずリカバリーできる。ボムを使い切った後に粘ってまたリカバリーできる可能性があるのはなかなかうれしい。ただし、文以外の霊撃はスペルカードをすっ飛ばすほどの威力がないので、最後は気合いが必要になる。
 今作はエクステンドの仕様が特殊で、ボスとの勝負でミスをしなかった場合にのみ(ボム使用はOK)残機のかけらが取得できる。被弾してしまうともらえない。よって好調にプレイしているときとミスが続いているときで残機の差が大きく開くようになっている。序盤からちょくちょく被弾しているうちは「この残機であと何ステージ乗り切るとか不可能もいいところだろ……」と絶望してしまいがちだ。しかし、序盤をパーフェクトで進めるようになると途端に残機に余裕が出てくる。なので腐らずがんばろう。
 地霊殿が難しいというイメージは、三割がたはパルスィとお燐のファーストインプレッションに作られていると思う。私のノーマル初回プレイは妬符「グリーンアイドモンスター」になすすべもなく撃沈し、「こんなん無理やろ」と思ったのを記憶している。しかし、タネに気付けばあの二人はそこまでの難ボスでもない。パルシィにしろお燐にしろ、弾幕を安全に避けるためにはいったんショットを切ったり敵の背後に回ったりする必要がある。地霊殿以前の東方ノーマルでは敵に背中を向ける必要がほぼなかったので、その固定観念で行くと延々ハマりつづけることになる。それさえ捨てられれば難易度は段違いに下がるはずだ。お空は焔星「フィクストスター」だけは魔理沙でもド安定だが、残りのスペルがありえない。見えない。避けられないんじゃなくて、見えない。どういうことかは6面まで行ってごろうじろ。
 ゆかれいむ推奨。ショットにくせがなく(というか、他がくせものだらけ)、ボムのダメージもそれなりに通る。あやれいむもショットが恐ろしく強いのはわかるんだが、私には低速がどうしても操れない。
東方地霊殿
初見はだいたい画面中央下で小弾に飲み込まれる。

『東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object.』 
 ベントラーというシリーズ中最も特殊なシステムを搭載していて、残機・ボム・パワーを稼ぐ習熟の難易度は歴代でも傑出している。私はノーマルノーコン初クリアまでのリトライ回数なら星蓮船が断トツで多い。たとえば永夜抄や風神録のノーマルは、他作品のそれをやり込んでいる人がプレイしたらあっさり初回クリアすることもありえると思うが、星蓮船はかなり厳しいんじゃないだろうか。慣れてしまえばベントラーを効率よく回し、物量にものを言わせて楽にクリアできるが、その慣れるまでにかなり骨が折れる。
 星蓮船の道中で残機やボムを稼ぐには、ベントラーアイテムを色を揃えて回収し、出現したUFOにアイテムを吸わせてから破壊するという手順をこなす必要がある。ベントラーのシステムを死に覚えで把握し、パターンをきっかり構築しつつ、不測の事態(青UFO)にも対応できる応用力を身につけないことにはにっちもさっちもいかない。東方のクリア重視プレイでは、主に中ボスが出す残機とボム(パワー)だけをさくっと拾って、後のアイテムは無理して取らずに画面下で粘るというプレイスタイルが基本になる。しかし、星の道中は継続的に危険を冒してベントラーを回収しにいく必要がある。そうしないとボムの補充もエクステンドもままならない。しかし、ベントラーの軌道や色の変化に神経を使わざるをえない分、敵弾に対する注意がおろそかになる。道中での事故死率はシリーズ随一だ。かてて加えて、パワーアイテムの効果が低い上に被弾時のパワーの減衰が著しく、一つのミスがずっしりと響いてくる。
 今作の弾幕はやたらぴかぴか光っていたり、レーザーや自機のオプションに弾が被さったりで、視認性が史上最悪である。加えて村紗も星もスペルカードが粒ぞろいだ。高速レーザーをびゅんびゅん飛ばしてくる星くんを5ボス最強格に挙げる人も多い。しかし、上述した通りに道中での立ち回りが完璧ならば、残機数とボムに飽かせて何もかもすっ飛ばしてしまえる。たしか村紗登場までパターンが完璧でノーミスならば、あの時点で9機9ボムになっていたはずだ。ただし、ラストの聖は通常弾の半分ほどと魔法「魔界蝶の妖香」ぐらいしか安牌がなく、最終スペルの飛鉢「フライングファンタスティカ」以外に「聖尼公のエア巻物」にもボム耐性があるので、対策をしっかりとすること。
 すわさなで間違いなし。ショットもボムも性能が頭二つぐらい抜けている。
東方星蓮船
ここまで組み上げるのが大変なんだ。

『東方神霊廟 〜 Ten Desires.』 
 エクステンドの理論値が低いこと、道中での稼ぎ場所を把握する必要があることを除いて、全体的に難易度はやさしい。何でもZUNその人が意図的に難易度を抑えて作ったと語っていたらしい。4面以降のボスが使用するスペルカードの難易度は確実に下から数えた方が早い。
 神霊廟の特殊システムは霊界トランスというもので、敵を早回しで倒したり張り付いて攻撃したりしたときに吐き出される神霊アイテムを集めるとゲージがたまり、マックスになると任意のタイミングで解放できるようになる。解放すると一定時間、無敵+ショットの威力増加+アイテムの効果倍増のトランス状態になれる。被弾時にも自動で発動されて、効果が切れた後にミスになる。そして、残機とボムの稼ぎは、特定の敵が所持する紫と緑の神霊アイテムを回収することで行われる。神霊は出現位置から移動しない上に時間で消滅するので、道中で敵の体当たりと弾幕が飛び交う中で回収しに行くのはハラハラする。霊界トランスのアイテム効率化の効果は紫と緑にも適用されるのでここぞとばかりに発動させよう。トランス中でもボスにダメージは通るのでサブのボムとしても使いたくなるが、上述した通り今作はエクステンドが少ないのでなるべくそちらにゲージを回したい。
 ボスは全般的にやさしく、特に布都の与しやすさが印象に残っている。君は本当に妖夢や星と同じ5ボスなんねんかと。通常弾を含めてノーボムノーミスで撃破できてしまう。5ボスは基本的にガンボム上等で切り抜ける腕前の私でもこうなのでお察しくだされ。いやほんと、スペルカード全般で面食らうのは芳香の神霊吸収系くらいのものだ。神子の最終スペカ「星降る神霊廟」は歴代最弱ともっぱらの噂だが、異論はない。記憶が正しければトランス状態でのダメージも入る。もひとつおまけに、システムとしてスペルプラクティスが久々に実装されていて、対策も実にやりやすい。
 クリアの難易度が跳ね上がるような地雷機体もなく、事前情報なしに誰を選んでもどうにかなるのではないだろうか。あえて言うなら霊夢安定で、妖夢はチャージショットがべらぼうに強いものの操作体系が複雑になるのでやめておくべき。
東方神霊廟
私がノーボムで遊べる5ボスは布都ちゃんくらい。

『東方輝針城 〜 Double Dealing Character.』 
 システムはシンプルだが、スペルカードがなかなか嫌らしい。シリーズ初プレイにはお薦めしない。
 輝針城の残機とボムのシステムは、画面上部でのアイテム自動収集で一度に多くのアイテムを集めるとかけらが出現するというものだ。もはや恒例になりつつあるが、残機を稼ぐためには道中危険を冒してアイテム収集ラインを越えていく必要がある。ボムのかけらは8つ集めてようやく1ボム分になるので、無理にボムって上部回収してもかけら1つがリターンでは全く割に合わない。効率よく稼ぐためには、移動しながら敵弾を避けるスキルを磨くか、残機のかけら分のアイテムが出現する箇所がどこなのかを把握してパターンを作り込んでいく必要がある。
 弾幕の傾向としては、うねうねブルブルと読みづらい軌道を描く弾がいくつかあり、また自機の挙動や当たり判定、果ては画面構成(!)まで変えてくる妨害系のスペカが取りそろえられている。力が弱く蔑まされていた者がヒエラルキーを逆転させて革命を企てる、というストーリー背景を反映させているのだろうか。挑戦するなら、前作に引き続きスペルプラクティスが実装されているので、何度も動かして挙動の変化に慣れれば道は開ける。正邪は弾幕の密度に限れば5ボスでもかなりぬるい。
 神霊廟とは打って変わって機体ごとの難易度の変化が激しい。ガチャプレイでも安定して強いのは咲夜A。特殊な強さなのが魔理沙Bで、実質的にエクステンドの回数を上げられるというシリーズの全機体の中でも珍しい特性を持っている。逆に咲夜Bのクリア重視プレイにおける残念っぷりはもはや語り草になっている。高速移動時にあれだけばらまかれるナイフを一点集中してなんであんな威力にしかならないのよ……。
東方輝針城
5ボスのスペルカードにしては大したことない弾幕に見えるが……?

『東方紺珠伝 〜 Legacy of Lunatic Kingdom.』 
 弾幕の難易度に限れば、歴代でも断トツぶっちぎりではないだろうか。
 紺珠伝は今まで通りの残機システムであるレガシーモードに加えて、完全無欠モードというほぼ無限にトライ&エラーができるシステムを選択できる。ボスは後者を前提としている(としか思えない)高速・高密度・要精密動作の弾幕をぶっ放してくるので、レガシーモードでプレイすると同じノーマルでも他作品のそれとは段違いの難易度になっている。個人的には清蘭とサグメはともかく、それ以外のボスがイカれていると思う。鈴瑚! お前のような事故死率の高い通常弾を撃つ2ボスがいるか! ドレミー! スペルカードの1、2枚目がパターン化できるからまだいいものの、3ボスがあんなに高密度で積ませる通常弾を撃ってくんなや! クラウンピース……! やめて……やめて下さい……っブルブルッ。「星条旗のピエロ」はもう聞きたくない……! 5ボスが高速直線レーザーつるべ打ちとか耐久スペル2枚とか、あんた何考えてるんすか! 純狐さん、私の精密動作性ではあなたの通常弾と震え凍える星は避けられません! あと、あなたのスペルカード表示はバグか何かですか。
 勘違いされがちだが、クリア重視プレイだとレガシーモードより完全無欠モードの方がずっと難しい。完全無欠モードではボムを最大8個しかストックできないため、クラウンピースと純弧の連戦で詰みになる可能性がかなり高い。最終スペルのピュアリーバレットヘルまでにボムを最低1発、なるべく2発残していないとノーマルシューターにはしんどい。それがいかにかつかつかは一回プレイしてもらえばわかると思う。また、リトライ一回のペナルティであるパワー-0.01(最大は4.00)がほぼノーリスクのように見えて意外にバカにできない。クラウンピース以降、大げさではなく、ノーマルシューターでは100回以上リトライしても突破できない可能性のあるスペルもざらにあるので(いわゆる00/99+である)、パワーの減衰分をアイテムで回復できずにジリ貧に陥る可能性がある。
 今回のエクステンドは、ステージがいくつかのチャプターで区切られていて、その中でグレイズ数と敵の撃破率を一定数以上稼ぐことで残機のかけらが得られる形式だ。グレイズ数を稼ぐ、イコールある程度敵を残存させるということなので、それと撃破率を両立させるのはなかなか頭を使う。道中でのパターン作りが必須なのは星蓮船以降のデフォルトらしい。完全無欠モードの通しプレイによる死に覚えでそれを作りこんだのち、レガシーモードでのクリア重視プレイで突破するというのが定石だ。あと、積極的に弾にかすりに行く関係で事故死率もかなり高い。幸いにしてエクステンドの回数は(パターン化できていれば)多くて、4面クリア時点でカンストするくらいはある。あとはその貯金で地獄の5、6面を凌いでくれぃ。
 自機は早苗か鈴仙を推奨。早苗は低速ショットが追尾性能有りなので、道中ではグレイズを稼ぎつつ撃破率も上げられる。ボムも癖がない(星蓮船に比べると威力も効果時間も弱体化しているが)。鈴仙はボムが規格外だ。地霊殿のにとまりや輝針城の咲夜と同様の性質だが、それらと比べても弾幕回避性能・抱え墜ち回避性能がバカ高い。おまけにグレイズのシステムともシナジーがあるという。記事の趣旨とは離れるが、かてて加えてエクストラのボスであるヘカーティアのスペカとも相性がすこぶるよい。私は鈴仙以外ではまだ変なTシャツヤローを倒せていない……。
東方紺珠伝
(例のBGM)

『東方天空璋 ~ Hidden Star in Four Seasons.』 
 自機の武装が強力な上、稼ぎが回せればエクステンドの回数がかなり多いのでやさしい方。だが後ろからの攻撃には慣れろとしか言えない。
 今作独自のシステムは季節装備と季節解放で、詳しくはマニュアルを読んでほしいが、メインショットのオプションと霊撃を兼ねたようなゲージシステムだ。季節解放で消した弾は、得点アイテムによる加点の上限を上げるアイテムに変わる。今作の残機は紅魔郷や風神録のように総得点で払い出されるので、パターンを組んで季節解放が効率よく回せればエクステンドの回数も上がっていく仕組み。
 ボスの弾幕の傾向としては、画面下部、自機の背後から弾が飛んでくるスペルがかなり多い。4ボスの成美からして魔符「バレットゴーレム」と地蔵「クリミナルサルヴェイション」の二枚が下から噴き上げる系統の弾幕なので、明確にコンセプトとして打ち出されている。作品の背景とモチーフの取り込みとしては秀逸な演出だが、それはそれとして目視しづらい、避けづらい、挟み撃ちはやめてほしい! 数をこなすまでは不慣れな操作感覚で導線がぐちゃぐちゃになり、ポコポコ被弾すること必至。背後からの攻撃は全般的に弾速が抑え目で、追い詰められからてのボムOR季節解放がだいたい間に合うのが有情か。ストックにかなりの余裕があるので最悪決め打ちでもどうにかなる。5ボスで初の二人組であるバックダンサーズは、背後からの攻撃に加えて交差弾、緩急が不規則な星型弾、へにょりレーザーとプレイヤーが嫌がる攻撃のアソートが充実しておる。6ボスの隠岐奈は通常弾こそ歴代と比較するとぬるいが(エクストラの経験者なら慣れっこもいいところ)、上述した通りスペルカードは上下からレーザーやら高速炎弾をつるべ打ちしてくるし、最後の「アナーキーバレットヘル」の相対的な耐久力が凄まじいぞ。
 今作は自機に加えて四季の季節装備を選択できるが、装備ごとに解放の使いやすさが全く異なる。上に書いた通り、季節解放を組み込んだパターンの完成度でエクステンドの回数が変わってくるので、自機と同じくらい難易度を左右すると言っても過言ではない。個人的なお勧めは解放が弾消し(=得点効率)に特化した春装備かな、サブショットの誘導弾も無難な性能だ。自機は避けに集中するなら霊夢、位置取りに自信があって攻撃性能や早回しに重きを置くなら魔理沙。人外組はようわからん。
東方天空璋
あっ! これやったことがある弾幕と曲だ!(進研ゼミ風)

『東方鬼形獣 ~ Wily Beast and Weakest Creature.』 
 前作に続いて自機が強い。エクステンドの回数は少ないがある程度までパターンを作れればクリアは見えてくる。
 鬼形獣の特殊システムは、動物霊&アイテム魚霊によって発動するロアリングモードだ。特定の敵を倒したりスペルカードを突破したりすると出てくる霊アイテムを5個集めると、ショットもしくはボムが大幅に強化されて被弾を一回だけ帳消しにする状態に突入し、モード終了時にアイテム魚霊はかけらとして放出される。モードの継続時間は、選択した霊と一致している、同種の霊を多く集めているという条件で延びる星蓮船のベントラーと同系統のシステムだが、ボーナスの条件が大幅に緩和されているのがありがたい。被弾の帳消しは無条件で、ショット・ボムの強化は5個のストックのうち同種の動物霊を3個以上集めていれば発動し、アイテム魚霊はモードに突入さえすればミスしてもアイテムが放出される。おまけに霊アイテムは画面外に消えるまで猶予がかなりあり、ボスの会話デモ中にこそこそ厳選が可能だ。
 東方は基本的にパターンを構築して耐え抜く「守り」のシューティングゲームだと認識しているが、鬼形獣はかなり「攻め」に比重のあるゲーム性になっている。ロアリングモードが攻撃力、効果時間ともにボムを凌駕するほど強く、条件を満たしていれば敵のスペルカードを一枚飛ばして余りあるほどだ。ボムも据え置きの性能で、もちろん無敵時間中に霊アイテムを回収してロアリングモードを回すことも可能なので、自機の総合火力と継戦能力はシリーズでも一つ抜けている。また、敵の弾幕の傾向もゲーム性の印象を強めている。道中の攻撃はこちらが攻勢に出ないと詰まされるほど激しい。そして、5ボスの磨弓と6ボスの袿姫が使う埴輪系のスペルカードは、展開した使い魔(ビット)から弾を雨あられとぶっ放してくる。ショットのみで挑むと苦戦するが、ロアリングモードなら埴輪をもりもり破壊して逆に火力で押し切れる。
 ボスのスペルカードは上述した埴輪系のものを除けば素直で、打ち返しの考慮や丁寧な誘導は特段必要としない。スペルプラクティスで練習しておいたほうがよいのは八千慧の龍符「龍紋弾」だろうか、あの波紋が広がって収束する圧迫感はあんまり経験がなかった。あと、(若干ネタバレ)袿姫の切り札である「ジオメトリッククリーチャー」「イドラディアボルス」がほぼ勝利確定のイベント戦なので(ネタバレここまで)、他の作品に比べて6面到達時点でぼろぼろの状態でも一点突破出来る見込みはある。
 自機の選択について。何もなければ霊夢のオオワシ霊モードかオオカミ霊モードで。憑依させる霊で対象のロアリングモードの効果時間が目に見えて増減するし、高速・低速それぞれのショットの威力差は難易度を左右する。オオカミ霊はスペルカード戦では低速ショットを打ち込むとオオワシ霊に比べて1ループ分くらい早く突破出来ることもある一方、道中だと高速ショットでは明らかに撃ち漏らしが増える。捻りがないが、道中のパターン構築が難しいならオオワシ霊、ボス戦に比重を置くならオオカミ霊でよい。
東方鬼形獣
火力には火力をぶつけんだよ!

『東方虹龍洞 ~ Unconnected Marketeers.』 
 アビリティカードの引きも絡むが、自機が歴代でもダントツに強い。天空璋あたりから東方のゲーム性自体が徐々に変わってきている気がする。エクステンドにも特殊なシステムがないため遊びやすく、難易度は下から数えたほうが早い。
 今作のシステムはアビリティカードの買い物で、各ボス戦後に、道中やボス戦で集めた金アイテムを支払ってアビリティカードを購入することができる。効果は残機やスペルカードの稼ぎ、メインショットやオプションの強化、デメリットなしで使えるサブウェポンや弾消しの装備など多種多様に取り揃えられていて、お好みのプレイスタイルに合わせられる。ただ、品ぞろえは毎回ランダムなので多少の運は絡む。賢者のカード(「背中の扉」「画面の境界」)とか来たら一回チェンジさせてほしい。エクステンドとボムの補給はアビリティカードの購入で行えるほか、従来通りのエクステンドとスペルカードのかけらも固定箇所で支給される。
 上述の通り、このアビリティカードでの強化によって自機がとんでもなく強くなる。ショットを徹底的に強化して、スペルカードを真正面から潰すもよし。早苗(紺珠伝とほぼ同仕様、やや正面が弱くなっている気がする)に「ミニ八卦炉」(魔理沙のレーザー)、メイドナイフ(咲夜の偏向ナイフ)、陰陽玉(霊夢のホーミング)のオプションを搭載し、ついでに「無事かえるお守り」(諏訪子の炸裂する弾)と「蛇の抜け殻入り御守り」(神奈子の追尾する弾)も上乗せして早苗フルパワー100%中の100%!  なんて芸当も運がよければできる。使用タイプのアビリティカードにこだわって、「狂気の月」(弾消しする特大月弾)や「忍耐の要石」(耐久力のある前方バリア)を「法力経典」(使用カードのクールタイム減少)の効果でバカスカ撃つのもよし。あるいは防御に特化して、「弾幕の亡霊」(かすった弾をランダムで消す)と鬱陶しいUFO(自機の周りを回る弾消し、かなり心許ない)と「太鼓の勾玉」「偶像防衛隊」(横方向、正面の弾消し)を掛け合わせて、スカスカの弾幕を攻略するもよし。
 ボスの強さも比較的抑えられている。4ボスの魅須丸は近作では珍しく全方位攻撃の気合避けが多めで、好き。5ボスの龍とラスボスの千亦は過去作を思わせる弾幕が多く、永夜抄の魔理沙やExtraボス(特に藍・紫、妹紅あたり)を攻略している人はより戦いやすいだろう。後半二人は妙に弱いスペルカード(「天馬行空の舞」や「バレットマーケット」)が混ざっているし、龍のレーザーは予告線が出るだけ有情だ。あと、あんまり難易度に関係ないけど1ボスのミケは個人的に同ステージ基準での事故死率ナンバーワンだ。「弾幕万来」なぁ、ゲーム中最初のスペルカードでジェネリック「スターボウブレイク」を撃ってくるなや。「弾災招福」も狭まる位置の目測を誤ると焦ってよく死ぬんだ。
 強いて言うなら、ミス時のパワーの減衰が-100(1ランクダウン)と星蓮船ばりにえげつない。いつも通り抱えボムは徹底的に避け、立て直しは躊躇せずにボムやアビリティカードを投入するべき。
 このシリーズにしては珍しく周回の引継ぎ要素があり、ゲーム開始時のアビリティカード(初回は1スロット、クリア後は2スロットに拡張)は一度購入したことがあるアイテムならどれでも選べる。打開を目指しているなら、ほしいアイテムを見かけたらそのプレイは捨ててでも購入しておくべし。クリア重視プレイなら初期スロットは「肉体強化地蔵」(初期ライフ+1、ステージクリアごとにライフのかけら支給)や「無事かえるお守り」が無難だろうか。
東方虹龍洞
んん、極振りした火力でボスに負担をかけてサイクルを崩壊させますぞ。

2011/05/02 投稿
2013/11/24 さらに加筆
2016/08/20 紺珠伝をクリアしたので項を追加
2018/01/08 天空璋を追加、せっかくなので全作品分のスナップショットを掲載
2020/06/27 鬼形獣を追加
2021/05/15 虹龍洞を追加
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toppoi
Author: toppoi.
百合ゲームレビュー他。アカイイト、咲-Saki-、Key・麻枝准、スティーヴン・キングの考察が完成しています。
Since 2005/12/10

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